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●2000年 3月27日 ニュース

『東商新聞』(2000年3月5日号)に根本社長のインタビューが掲載

 

『東商新聞』(2000年3月5日号)に根本社長のインタビューが掲載されました。

東京商工会議所 の機関誌『東商新聞』(2000年3月5日号)に根本社長のインタビュー記事が掲載されました。内容は以下の通りです。


事業の創出こそ真の“リストラ”

危機バネに夢の蛍光体「N夜光」開発
○常に新しいものを追いかけろ

 同じ事業は三十年と続かない、常に新しいものを追いかけろ―――。創業者である父のこうした発想が、社名の「特殊」に込められています。カタカナ 社名が全盛の時代に漢字十文字の社名は古めかしい感じもしますが、先代のそうした思いもあって、なかなか変えられません。でも、それで良かったと思ってい ます。

  当社は、軍関係に夜光塗料を供給するために一九四一年に創業しましたが、戦後は時計の文字盤への夜光塗料加工を主な事業として再出発しました。私は会社 を継いでから、先代が社名に込めた志に従い、事業の多角化を進めてきました。それまでは夜光塗料による製品加工が専門でしたが、蛍光体(夜光塗料)自体の 製造にも乗り出し、また、独創的な技術の開発と人材確保を目的に技術開発センターを設置しました。

  現在、世界中で腕時計や目覚まし時計に使われている夜光塗料はほとんどが当社のものですが、その製造技術を生かし、セキュリティ分野の市場も開拓しまし た。これは、紙幣や切手などへの特殊印刷に利用され、偽造防止に役立っています。米国の切手や百ドル札にも当社の蛍光体が使用されています。また、夜光塗 料で培った放射線取り扱い技術を、新薬開発に際しての化合物の合成作業に応用したライフサイエンス事業にも進出したほか、火災報知器用の煙センサー、CO (一酸化炭素)ガスセンサーなどセンサー事業も有望な分野に育っています。さらに、上海・深?・大連やポルトガルにも生産拠点を築き、グローバルな事業展開を進めています。

○革新的な開発で危機乗り切る

 会社が存亡の危機に直面したのは九一年です。時計の文字盤に使用されていた自発光性の夜光塗料に微量の放射性物質が含まれることから、時計メーカーが 「夜光塗料からEL(電場発光)に切り替える」と発表したのです。売上げの大半を占める時計メーカーとの取引が消滅してしまうのですから一大事です。

  夜光塗料には自ら光を放つ「自発光性」と、電燈の光などを蓄積し暗闇で光る「蓄光性」のものがあります。自発光性は発光時間が長い反面、微量の放射性物 質を含んでおり、蓄光性は放射性物質がないかわりに残光時間は短いのです。そこで従来の常識を覆す、長時間光る蓄光性顔料を開発すれば生き残る道はあると 考え、技術開発センターを中心に研究に取り組みました。

  これまで培ってきたノウハウと研究データの蓄積から、アルミナ化合物に目を付け、試行錯誤の結果、九三年に革新的な夜光顔料を開発しました。放射性物質 などの有害物質を一切含まず、残光時間は従来の十倍というまさに「夢の夜光」で、世界的な発明です。化学的にも安定性が高く耐久性にも優れているので、時 計だけでなく、電子機器、インテリア、自動車、アウトドア用品など用途も大きく拡がりました。

  私はこれを「N夜光(英名=ルミノーバ)」と名付けました。「N」は根本の頭文字であり、NEW(新しい)、NATURAL(自然=環境にやさしい)も 意味しています。N夜光は「九三年・日経優秀製品・サービス賞最優秀賞(日経産業新聞賞)」「大河内記念技術賞」など数々の賞をいただきました。先の時計 メーカーはもちろん、スイスの企業からも契約の申し込みが相次ぎ、現在では世界の夜光時計の大部分に使われています。N夜光がなかったら、当社は現在存在 していない、と言っても過言ではありません。

○多角化の先にある「選択と責任」

 今の時代、中小企業はいかに生き残っていくかに知恵を絞らなくてはいけません。特に、モノづくりに携わるものは、いつまでも一つの事業にこだわっ ていてはだめです。自らの技術を核に、隣接する応用分野に目を向けると事業展開の可能性が広がってきますし、最も力が発揮できます。そのためには、各種の 研究機関なども積極的に活用すべきでしょう。

  「リストラ」とは人員整理の代名詞のように使われていますが、本来は「事業の再構築」です。それは、今までやっていたことを止め、新しいものをはじめること。 廃業は創業に通じるのです。新しいものを生み出すためには、日頃からの準備を怠ってはいけません。研究開発への投資や、人材育成など、やるべきことは山ほどあります。

  私は事業の多角化を積極的に進めてきましたが、その延長線上にあるのは、「選択と集中」です。多角化で進めた分野で独り立ちできる事業は分社化し、本業 を絞り込み、そこに全力を注いでいます。当社の本業は、やはり蛍光体事業でしょう。最近では、大手メーカーのアウトソーシング化の動きにもビジネスチャン スがあると思われます。こうしたものは海外生産にコスト面での競争力があるので、中国・大連工場の増強なども考えています。

  これからの中小企業経営者に求められるのは、時代の流れを的確に理解し、社員に目指す方向を常に明らかにしておくことではないでしょうか。「こういう時 代だから、こうしよう」「こういう理由だから我慢してくれ」とアピールするのです。それと、社員が下を向いて仕事をしていてはだめで、夢を持たせなければ いけません。また、常に人材を育成し、組織体制を見直すことも大事でしょう。

  川に例えると、流れがどちらに行っているかを明確にする必要があります。中小企業は川に浮かぶ葉っぱのようなもの。何人乗っていて、誰が漕ぎ手なのか、流れより先に行くには漕ぎ手は何人必要か。 そう考えると答は案外簡単ではないでしょうか。あとは、タイミングを見計らってスピーディーに決断すればいいのです。(談)


ねもと いくよし

1933年生まれ。
56年早稲田大学第一法学部卒業、同年労働省東京労働基準局入局。
59年根本光化学研究所(現・根本特殊化学)入社。64年から社長。
99年2月から東京商工会議所杉並支部会長。

「謙有益」「和顔愛語」

 座右の銘は、仕事面では「謙有益(へりくだればえきあり)」で、生活面では「和顔愛語(わげんあいご)」。「出しゃばったっていいことないし、いつもにこやかに生きていたい。そういう気持ちで接すれば相手も心を開いてくれます」。 (出典:『東商新聞』2000年3月5日号「経営を語る」より)



 



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